漆喰で匂い対策!!漆喰の得意な匂い、苦手な匂いとは?
調湿性能や消臭性能を期待して、
漆喰を選ばれる方も多いですよね。
漆喰は、なぜ、においを吸収したり、
消臭したりするのでしょうか?
それには、きちんとした理由とメカニズムがあります。
しかし、昔の漆喰と違って、
化学のり(接着剤)などを
つなぎとして入れているような漆喰では、
十分にニオイを吸収、消臭してくれません。
今回は漆喰が消臭するメカニズム、
漆喰が得意とする匂いの種類などをご紹介したいと思います。
匂いはどんなところにたまりやすい?
こんにちは!軽井沢と上田市を中心に
天然木の家づくりをしているハピアデザイン
坂口賢一です。
焼肉をした翌日、
家の中がなんだか臭いなんてことありますよね。
また、居酒屋さん行った後のコートに
タバコなどの匂いがついてなかなか取れないなんてことも。
においは空気中を漂うというより、
壁や布地が吸収してしまうことが多いため、
カーテンや洋服、コートなどに臭いが染みついてしまうのです。
また、現在の住宅は気密性が高く、
24時間換気が義務付けられており、
第1種から、第3種といった機械換気設備が設置されています。
その中でも、排気だけを機械換気する
第3種換気システムが価格も安く、一番普及しています。
しかし、この第3種換気は、
各部屋から「吸気」し、
台所などから「排気」する形をとっているため、
気密性の低い住宅だと、
壁の内部とか床下の臭いを室内に吸い上げ、
臭気のもとになることがあるため注意が必要です。
消臭に効果があるのは?
消臭に効果があるのはやはり、
換気が一番。
窓を開けて空気を入れ替えることで
少しずつにおいは外に流れていきます。
換気をすることは消臭だけでなく、
カビの原因となる湿気も一緒に排出してくれます。
閉め切った状態が続くと、
においだけでなく、湿気が溜まり、
カビが生えてくるということもあり得ます。
うちは24時間換気をしているから
大丈夫というお話をよく聞きますが、
室内だけ対策しても、
気になる臭気の原因が、
壁の内部とか床下だった場合、
対処が難しくなります。
漆喰は臭いけど、消臭効果がある
漆喰は、消石灰を主原料とする塗り壁です。
消石灰は石灰石を原料としていますから、
漆喰そのものは無臭です。
しかし、漆喰を壁に塗れるようにするために、「のり」を加えます。
府海苔(ふのり)とか、
角又(つのまた)と呼ばれる海藻を
煮詰めた「天然のり」を使っていました。
しかし、今は価格が安く
扱いやすい化学のりが使用されているケースが多いです。
消石灰や、石灰石は臭くないのに、
漆喰が臭いと言われるのは、
実は、この「のり」の臭いなのです。
特に、塗りたての漆喰は臭いです。
どんなにおいかというと、
天然のりの場合は強烈な磯のにおいです。
「のり」の代わりに、
接着剤が使われている場合は
接着剤のにおいが施工直後には残ります。
乾けば部屋の消臭効果を発揮する漆喰ですが、
水を含むと臭くなるわけですね!
では、なぜ、漆喰に消臭力があるかというと、
漆喰が持つ微細な「隙間」に秘密があります。
漆喰が消臭するメカニズム
漆喰は石灰石を焼いて生石灰(きせっかい)を作り、
そこに水を加えて消石灰を作ってから、
漆喰の原料として使います。
そして、壁に塗られた漆喰は、
空気中の二酸化炭素と反応し、
100年ほどかけて、もとの石灰石に戻ります。
つまり、漆喰の「粉」だったものが、
徐々に「石」に変化する訳ですね。
壁に塗り終わった漆喰を電子顕微鏡で確認すると、
板状に変化した石灰の結晶の層を
確認することが出来ます。
また、結晶と結晶の間には、
無数の隙間があり、
その隙間が、調湿性能や消臭性能を発揮する元になる訳です。
しかし、年々硬くなり、
最終的には「石」になる漆喰は、
消臭効果や調湿効果の元になる隙間も徐々に減っていくので、
塗ってから長い年月が経った漆喰は、
においを吸収する能力も、調湿する能力も低下するのです。
漆喰が得意とするにおいは、酸性の匂い
壁に塗った直後の漆喰は、
強アルカリ性です。
漆喰を塗る際に目に入ると危険といわれているのは
その性質からです。
その後、徐々に「中性化」が進み、
およそ5年ほどで中性になると言われています。
また、塗った直後の強アルカリ性の時には、
カビ、ウイルス等に対する効果もあるとされていますが、
5年ほどで、効果がなくなるのです。
また、漆喰は、アルカリ性なので、
汗臭、皮脂臭、加齢臭、手あか、靴のにおい、生ゴミ臭等、
酸性のにおいに強いとされています。
しかし、タバコ臭、焼き肉臭、水あか、石鹸かす、さび等の
アルカリ系のにおいは、得意ではないとされています。
トイレや寝室の臭い消しとして漆喰を壁に塗れば、
ある程度の複合的な臭いを消してくれるのは、
こうした理由からです。
漆喰と同様に消臭性能のある珪藻土は、
ほぼ中性ですが、
珪藻土が消臭性能を発揮するメカニズムは、
酸性とかアルカリ性といったPHの違いとは少し違います。
珪藻土の消臭メカニズム
珪藻土も漆喰と同様に人気の塗り壁材です。
どちらも臭いを消臭する働きがありますが、
珪藻土の消臭メカニズムは、漆喰とは少し違います。
また、珪藻土の匂いを消臭する性能は、
漆喰のように衰えることがありません。
同じ塗り壁ですが、
珪藻土と漆喰の消臭メカニズムにどんな違いがあるのでしょうか?
漆喰の場合は、
結晶と結晶の隙間があることで消臭性能を発揮する訳ですが、
珪藻土の場合は、珪藻土そのものが消臭性能や調湿性能を発揮するのです。
珪藻土は、植物プラクトンの化石です。
骨格に細孔(さいこう)と呼ばれる無数の穴を持っていて、
この穴が、臭いを吸収したり、湿気を吸収したりするのです。
しかも、珪藻土の細孔は、
漆喰の結晶のように徐々に目詰まりすることがないので、
臭いを吸収する性能が衰えないのです。
また、匂いの成分が、
「水に溶ける」か「水に溶けない」かによって、
消臭のメカニズムと、得手不得手がありますので、
次にご紹介したいと思います。
水性の匂いと、油性の匂いの違い
トイレ臭のもととなるアンモニア臭とか、
接着剤や壁紙に使われるホルムアルデヒドなどは、
水溶性(水に溶ける)化学物質ですが、
シンナーや可塑剤といった化学物質は水に溶けません。
漆喰はアルカリ性だから、
水蒸気と一緒に吸収した酸性の臭いを
中和するたるめ消臭効果を発揮するという言い方をしている場合もありますが、
水溶性の化学物質だから、
水蒸気と一緒に漆喰の壁に吸収され、分解されるのです。
これは、珪藻土が臭いを吸収し、
分解するのも同じメカニズムです。
ただ、珪藻土が持つ多孔質は、
水蒸気の粒の大きさと相性が良いのですが、
油に溶ける化学物質は、
珪藻土よりも、更に細かい穴のほうが相性がよく、
ゼオライトが最適とされています。
衰えない消臭力と、衰える消臭力
漆喰や珪藻土が臭いを吸収し、
消臭するメカニズムは、
水蒸気と一緒にニオイの成分を吸収し、
分解するためであるというお話をしました。
また、漆喰の原料である消石灰や珪藻土が得意とする匂いは、
アンモニアとかホルムアルデヒドといった水溶性の臭いで、
消臭性能は、半永久的に衰えません。
しかし、漆喰は、年々硬くなり、
最終的には、石灰石になるので、
消臭性能も、徐々に衰えることになります。
まとめ
漆喰が匂いを消臭するメカニズムは、
漆喰の結晶の間に隙間があり、
その隙間に、
アンモニアやホルムアルデヒドといった水溶性(水に溶ける)
の匂いが吸収され、分解されるからです。
しかし、漆喰は年々硬くなり、
結晶間の隙間も少なくなるので、
漆喰が匂いを吸収する性能は徐々に衰えるという現実があります。
といっても、経年変化によって衰える消臭性能は、
それほど大した変化ではありません。
それ以上に重要なのは、漆喰の調湿性能そのものです。
漆喰が匂いを消臭するのは、
水に溶けた「匂い成分」を吸収するからであって、
その性能の大小は、調湿性能の大小と比例するからです。
つまり調湿性能の高い漆喰は、
匂いを吸収する消臭性能も高いということなのです。
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